舊書店の謎の手稿
六月の終わり、東京は連日の雨に浸っていた。中央區の老舗出版社「紀文社」の編集部で、佐藤美咲は最後の校正刷りを確認した。時計は午後十時を回り、同僚たちの機はすでに空っぽだ。窓ガラスに叩かれる雨音が、部屋の靜けさを際立たせている。