首頁 女です 舊書店の謎の手稿

8.真相の斷片

舊書店の謎の手稿 舊書店 452 2025-12-08 15:19

  美咲と鈴木は、手帖の真贋を調べるため、文芸春秋の資料室に足を運んだ。同社は芥川の多くの作品を発行しており、手稿の原本を保管している。資料室の主任、佐伯明子が手帖を確認した後、沈黙が続いた。

  「これは、芥川さんの真筆だと思います」佐伯はゆっくりと言った。「ただ、この作品は、芥川さんが『羅生門』を書く直前に構想していた『武士の夢』という作品の初稿と酷似しています。『武士の夢』は後に未完に終わり、手稿も散逸したとされています」

  さらに佐伯は、昭和五十八年に「迷亭」の岩崎老人が文芸春秋に訪ねてきたことを明かした。「老人は『武士の夢』の手稿を持ってきて、『これを公表してください』と申し出ました。でも當時、真贋を確認できず、斷念しました」

  その晩、美咲は自宅で手帖を読み続けた。最後のページには、細かい文字で「これは僕が芥川さんの遺志を継いで書いたものだ」と書かれていた。筆跡は岩崎老人のものだ。美咲は突然、悟ったように立ち上がった。追跡者は、岩崎老人の知り合いで、手帖を奪おうとしているのかもしれない。

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