首頁 女です 舊書店の謎の手稿

6. 店長の秘密

舊書店の謎の手稿 舊書店 476 2025-12-08 15:18

  美咲は岩崎老人の生前の事情を調べるため、下北沢の古書店街を回った。「迷亭」の隣にあった「文華堂」の前店主、黒田清が老人のことをよく知っていた。「岩崎さんは、若い時に芥川龍之介さんの書斎で働いていたんですよ」黒田はこっそりと話した。

  昭和初期、岩崎は芥川の家の奉公人をしていたという。芥川が書いた手稿を整理する機會が多く、作家の執筆スタイルを熟知していた。「芥川さんが自殺する直前、岩崎さんに『これを大事に保管してくれ』と手紙を渡したそうです。それがこの赤い手帖なのかもしれません」

  その話を聞いて、美咲は新たな疑問を抱いた。もし岩崎が芥川から手帖を受け取ったのが大正十五年なら、なぜ昭和五十八年まで公にしなかったのか? 手稿の執筆者が岩崎自身なら、なぜ暗号をつけて隠したのか?

  帰る途中、美咲は鈴木に電話をかけた。「暗号の意味、もう少し考えてもらえますか? 3-5 ハ 2-7 キ 1-3 ケって」電話の向こうで鈴木が考えている音がしたが、突然「佐藤さん、今どこにいますか?」と焦った聲がした。「『迷亭』の近くですか? 危ないです! すぐ逃げて!」

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